おまけの瑠璃vr
仲間を求めていつでも彷徨っていた。
仲間しか信じられないとずっと思っていた。
俺達は…、珠魅は何時の時代でも狩られてきたから。
胸の核は魔力の宝石だと…欲に取り付かれた多種族達…。
仲間を…、仲間を…!
俺に仲間を…。
ヒトリハコワイヨ…、トッテモサビシインダ…。
何時自分も狩られるか解らないから、力が欲しいと思った。
まだ、何の力も持ってはいないから…。
力を…、仲間を…、強く欲した。
願ってやっと手に入れた仲間は仮初の者…。
孤独は去ったが、何時元に戻ってしまうのだろう。
元の彼女に戻ったら、俺の元から去って行ってしまうのだろうか…。
彼女が去ってしまうと、また孤独がオレを蝕む。
……いやだ!!もう、一人はいやだ!
あんな淋しい思いはいやだいやだいやだいやだっ!!!
俺は仲間を探す。
何時、彼女が去って行ってしまっても一人じゃないように…。
彼女の代わりに、俺の傍に居てくれる仲間を…。
絶対に離れない、仲間を……。
暫く前から滞在する様になったドミナの町…。
何の変哲も無い只の田舎町。しかし、俺は立ち止っていた。
町の入り口、古ぼけた木の案内板の前で。
意味は無い。無いはずだった…。只、気になった。
何を、と問われても答えられない。只、気になった。
この先に行くと、仲間に会えるかも。そう思ったのだったか、…それとも…。
………それとも只、予感がしたのか…。
そんな事を考えていたら、いつの間にか酒場の前に来ていた。
今日まで来ないようにしていたが、考え事に周りが見えなかったらしい。
ここに来たって、アイツはいない。
そう思ってふっと自嘲の笑みが漏れる。
多種族である者を待っている様な自分が許せなかった。
だが、同時に滑稽だった。
傍に居てくれそうな者なら誰でも良いと言うのか?
愚かしい考えだ。
珠魅でない者は絶対に信用してはいけないというのに…。
誰も待ってはいない。
只、気が乗らないから来なかっただけだ。
それだけの事。
そう思っても、言い聞かせている様に思い、憮然とする。
待ってはいない。
再びそう考え、嘘ではないかのようにドアを開け窓へ近づき外を見る。
待ってはいないと言い聞かせても、やはり少し落胆する己がいる。
待ってなんかいない。
アイツは只の人間。
今まで俺たちを殺してきた種族だ。
信用するな、頼るな…。
俺はそのまま、再び考え事に身を投じて行った…。
ふと、気配を感じた。敵意ではない気配。
いつもならどうとも思わない。
只今日は、何故か気配の主を見てみたいと思い顔を向ける。
…アイツが、いた。
豊かな黄金色の髪に、翡翠色をした瞳を持つ…、人間の女。
気の強そうな端正な顔立ち。
忘れたくても、忘れられない印象を与える。
何故居る?
そんな思いと共に、また逢えた。
そう思った自分が信じられなくて、言葉を発せずにいた。
「……久しぶり。何か、できること、ある?」
久しぶりのアイツの声。少し高めの、耳に抵抗なく響く声。
「…仲間を、探してるんだ」
戸惑いつつも、何だか嬉しい自分に愕然とする…。
「うん、じゃぁ、手伝う」
そういってアイツは笑う。綺麗な、純粋な微笑み。
「…すまない」
ありがとうと言うのが少し照れくさくて、
そんな自分を見せる事も何だか恥ずかしくて…。
ありがとうという気持ちを、すまないという言葉に託した。
アイツの笑顔は心に、心地いい。
疲れさえも、癒されるような暖かい微笑み…。
…やっぱり俺は、コイツに、逢いたかったんだな…。
ここで、コイツを待っていたんだな…。
嬉しそうに笑うアイツを見て、そう、思った。
抵抗なくそう思えた。
未来なんてわからない。
わからないからこそ、コイツとの出逢いを大切にしたい…。
後書き
えへへ。隠しなんですが、見つかったんですね〜。
せっかく見つけた隠しがこんなんでごめんなさい。へぼへぼ〜。
3との平行線なんで、4扱いにはできなかったんです。
瑠璃はまだ無自覚で進ませていただきます〜vv
BGM 水の証&静かな夜に&Shoot
03.8.25UP
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