リージョン
「便利よね〜、リージョン移動って」
治安の良くない、クーロンの表通りの壁に背を預けた若い女性が、思い出したかの様にしみじみと呟く。
数刻前に、女性の言うリージョン移動、“ゲート”の魔術でネルソンなるリージョンから一瞬でこのクーロンまで飛んできたのだ。魔術に馴染みのない者なら、便利と唯純粋に喜ぶだけだろう。
そんな女性をブルーは半ば軽蔑した様な瞳で見返す。
「…怠け者の言葉だな」
「なによー!じゃぁあんたはどーなんのよ!」
いっつもいっつもゲート使ってんのはどこの誰?と返す女性にブルーは艶やかな笑みを浮かべる。
「俺は自分の魔力を高める為と、時間の短縮の為にゲートを多用している。
何の為にもならないばかりか筋力を落としかねないお前等と一緒にするな」
柔らかい笑みとは似ても似つかない程棘のある物言いに、女性は開いた口が塞がらない。
心底「二重人格もしくは多重人格」なのではないかと思ってしまう。
ブルーは、便利だからという理由のみでゲートを多用しているわけではない。
先ほど述べたように、己の魔力を高めるため。
しかし、それだけではなかった。便利そうに見えるゲートは、実際はとても危険な魔術だ。
目的地をしっかりと思い描く想像力、そして、雑念を一切考えない集中力。
両方とも、魔術を扱うための基礎中の基礎だ。
ゲート使用時にこの片方でも崩れれば、あっという間に次元の中へ放り込まれる事になるだろう。
それに、案外魔術は体力と気力を使う。
己だけでなく、他者も連れての行為は、かなり体力・気力を使っているのだ。
その分、集中力を乱す事もあるのだ。ブルーは、己に危機感を与える事で想像力、集中力を高めている。
すべては、己の探究心の為…。
やがて用事を終えた数人の仲間が戻ってきた。
「ブルー、次はどこのリージョンに行くんだ?」
壮年の男性が問いかけると、ブルーは暫く考え込み、やがて口を開く。
「シュライクの、生命科学研究所へ」
そう言い終わらない内に、彼ら総勢5人の姿を蒼白い美しい光が包み込んだ。
後書き
…突っ込み、いいですか…?
他の人間巻きこんでんなよ、ブルー!!
でも、ゲートに対しての私の見解はああなんです。
絶対危険です!!シップでなきゃ移動できない空間なわけなんですよね?
(宇宙のように空気がないとか、実は毒気があるとか。)
ワープ系は危険だと、ひっそりと考えている管理人です…。
あ!お分かりになりました?ブルーと口論した女性と後で出てきた男性。
エミリアとゲンさんですvv5人は、ブルー、エミリア、ゲンさん、ライザさん、ルーファス
大体この5人です、いつも。ルーファスの代わりに(たまに)リュート入れる事もありますvv
BGM フェイバリットディア〜ノーザンストーリー〜 (リュドラル、フェリミストーリー)
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