素直に



私は、半分人間で半分妖魔…。
この世界に唯一半端な存在……。
人間からは化け物と恐れられ、妖魔からは半人と蔑まれる…。

私は、ナニモノ…?




白薔薇は去った…。一番側にいて欲しかった人…。
私の支えだった人…。
私は、彼女を、闇の迷宮に…、置き去りにしてしまった……。
後悔しても、白薔薇は戻ってこない。どんなに啼いても、悲観にくれても…。

イルドゥン達も去った…。
でも、そんなこと関係ない。白薔薇に側にいて欲しい…。
……白薔薇……

白薔薇の代わりにと言って、迷宮内で会ったマンドラゴラが、今は側にいる…。
こんなモンスターが、彼女の代わりなんて、笑わせる。
白薔薇の代わりなんて、誰にもできない。白薔薇しか、私をわかってはくれないんだから…。

ゾズマが私の手を取って、歩き出す。
そんな、変わらないゾズマに無性に腹が立った。

思い切り手を振り解くと、私はわけもわからずいつの間にか叫んでいた。


モンスターも妖魔も、皆かわらない!皆、皆化け物じゃないか!!


っ!

…私…、今、とても酷い事言った気がする…。
だって、ゾズマが、いつも子供のように笑っていたゾズマの瞳が暗い…。

怒ってる…?
表情が消えてしまったからわからない…。

マンドラゴラが悲しそうな顔をしてみてる…。

私、さっき、何て言った?

モンスターモヨウマモ、ミンナカワラナイ!ミンナ、ミンナバケモノジャナイカ!!

確かに、そう、言ってしまった…。
私が言われたくない事を、私は言ってしまった…。

『化け物』なんて、言われていい気分する筈ないのに…。
私が、一番、よくわかってた筈の事…、なのに…。

あの…、ごめん、なさい…。

そう、呟いて二人を見やる。
驚いてたけど、もう、あの表情は消えていて、いつものゾズマに戻ってた。
それが、なんだか嬉しかった…。



そう、妖魔も、生きてる。モンスターも、人も…。
同じ感情というものを持ってる…。
ただ、少し違ってるだけ…。
白薔薇は妖魔だけど、好き。ゾズマも、イルドゥンも、妖魔。
だけど、嫌いじゃないって、わかったから。
ううん、本当は、わかってた。
だけど、ちょっと、動揺してたから、気付いてなかっただけで…。




遅くないよね?まだ、間に合うよね?
まだやっぱり、人が恋しいけど、妖魔も、そんなに嫌じゃ、なくなったから…。

妖魔でも、人でも、私は、私…。
ナニモノでもない、『私』自身

こう、思えるようになったの、遅くないよね?





後書き

果たして、これは素直にというお題に当て嵌っているのでしょうか…?
非常に疑問です。

アセルスの視点から書かせて頂きました。
本当は、妖魔訪問イベントも絡ませたかったんですけどね…。
そうすると長くなっちゃうからね…。
書きたいなぁ、妖魔訪問イベント…。





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