人間



「俺は…何者だ?人間なのか…?
人間と見せかけているだけなのではないか…?」

彼がそう思うのは、これでもう何度目か…。

一度は、妖魔なのではと疑った。
人ならざる者、妖魔…。

彼は己の呪われた血の色を確かめる。
指を伝って流れる血の色は、綺麗な紅…。
蒼ではなく紅だった事に、彼は信じられない思いで見つめる。
しかし、幾ら見つめても血の色が変化するわけは無い。
嬉しいような、悲しいような…、安堵のような、絶望のような…。

彼は哀歓の声を発した。
「…俺は…、人間なのか…?」
アイツをこの手にかけ、精神を己がモノとした俺が…?


クッと笑がこみ上げた。


段々とその笑が大きくなり、やがて哄笑に変わる。



人間なのかわからない。
その不安から、かろうじて今までもっていた精神は、音を立てて切れていった。



天を仰いで泣きながら何時までも哄笑していた彼は
やがて誰にも知られることなく、歴史から消えていった…。




後書き

別ヴァージョンの『人間』です。
妖魔にするか迷ったのです。
人間のほうで進めてたのですがふと別の案が浮かんだのでそっちを採用。
でもせっかくだからということで、これも乗っけることになりました。
ブルーは死んだのか、それともひっそりと生きていくのか
どちらでも取れるようにしました。(こんなんばっか…)
まぁ、生きてるにしても、もう狂ってらっしゃるので…。
あ〜あ、やはりくら〜いのね…。。
ごめんなさい。




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