真実



「これが、真実なんです。マリンさん…。この国の、星読みの、…私の……」
そう言って、アロランディア最高権力者は薄く笑む。その笑みは多分に自嘲と苦笑が入り混じっていた。
「…プルート様……」
少女は信じられない思いで目の前の光景を見やる。
大切な友人の喉下に、大切な男の子が白銀のナイフを構えて、朗々と自分について語る…。

どうして自分はこんな光景を見ているのだろうか…。

ふと、そんなことを考える。寝る前に、なぜか外に出てみようと思ったのがいけなかったのか…?

…見たくなかった、こんな光景なぞ…。


マリンは外に出たことを悔いた。外に出なければ、見ずにすんだのにと…。
「私は、マリンさんが好きです。だからマリンさんには…、知られたくなかった。
…私は、私はちっとも心清らかな人間ではないんです。
邪魔に思う人を殺そうとするくらい、汚い人間なんです。
マリンさんやアクアさんなら、追放という形も取れました…。
でも貴女は!…貴女はこの世界にいるだけで、均衡を崩します!
貴女を感じる度アレはどんどん不安定になる…!
貴女は、この世界に来ては、いけなかった…」
泣いている…。そう感じた。彼は泣いている。国を思って泣いている。彼女を思って泣いている…。

助けたい…!

何よりも彼の心を救いたい…。そう思って、マリンは知らず知らずプルートを優しく抱きしめる。

ああ、わかった…。きっと私は彼に呼ばれていたんだ…。そして、私も彼を呼んでいたんだ…。

「プルート様、もう、無理をしないで下さい。そんな泣きそうな顔をしないで下さい。
大丈夫。何も壊れたりしません。アロランディアはずっと平和です。葵さんは死んだりしません。
プルート様は、プルート様の望んだ自分になれます。
だから、もう一人で苦しまないで下さい。泣かないで下さい。
プルート様の不安も、恐怖も、私に教えて下さい。分けて下さい…。
私だけじゃなく、アクアさんにも、葵さんにも…。皆、貴方が大好きなんですから」
マリンの表情は穏やかで、慈愛に満ちていた。
プルートの手からは張り詰めていた力が抜け、ゆっくりとナイフが地面に落ちる。
プルートの瞳は、涙で濡れていた…。




後書き

プルートvマリンにちょっと紅丸v葵チックにしてみました。
難しかったです。いろんなパターンの『真実』を考えてみたんですが、
やはりプルーとかなと思い、こんな形になりました。
マリンでプルートクリアして、「最後までいいヤツだったよ…」思ってたらアクアやってびっくり仰天。
なぁんだ。腹黒いじゃん、プルート。良かったvv
腹黒さはアクアが一番高いね。次に葵。マリンなんて腹黒さの欠片もないよ。




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