強さ



「マリンさんて、強いよね」
突然思い出したようにリュートさんが言った。
「ぅう、それって皮肉ですか〜?」
たった今打ち付けた腰を擦りながら泣きたい気分で問いかける。
リュートさんはキョトンとし、そして微笑む。私の大好きな、優しい笑みを。
「ああ、そういう意味じゃないよ。
…確かに、剣はまだまだだけど、僕が言った強さはそういう強さじゃなくって…」
そこまで言って、リュートさんは頭を掻く。
私は差し出されたリュートさんの手につかまって立ち上がる。

こういう細かな心遣いのできる人って、尊敬できる。

誰にでも優しい人だけど、今はこの人の優しさは私に向けられている。
そんな些細な事が何でこんなに嬉しいんだろう…?
「マリンさんの強さは、肉体的な強さじゃなくて、精神的な強さなんだよ。
みんな、君の強さに救われてるんだ。僕も、アークも、そして勿論…ソロイ様達も…」
「そ、そんなことないですよ。私なんかがそんな…」
褒められるのは嬉しいけど、そんなことありえない。
私みたいな平凡な女の子が、あろう事かソロイさんを救うなんて…!
きっと、リュートさんの勘違い。

だって、リュートさんの方がよっぽど…。

「私は、リュートさんの方が強いと思いますよ?
だって、私はリュートさんに励まされたから、今ここにいられるんですから」
そう言ったら、照れたように笑ってた。
笑ってて下さい、リュートさん。何時までも変らずに。そう、笑ってて下さい…。



『ずっと、笑っていてね。それだけで、いつも救われているから…』





後書き

リュートvマリンです。
最後は、リュートとマリンの、共通した、相手への想いと取って頂けたら嬉しいですvv




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