ビックリ!



「あ、アークさん遅刻ですよ〜?」
愛らしい少女が明るい声を出す。待たされたにも拘らず、少女の声は嬉しげだ。
「わり」
対する青年は素っ気無いが、バスケットをゆっくりと揺らしうきうきとしている少女を見て苦笑する。
「そんなに嬉しいかぁ〜」
呆れたようにアークが声を発する。マリンが振り返り、花のような笑みを浮かべる。
「嬉しいですよ?リュートさんがダリスに行ってから
アークさんも多少は真面目になっちゃって、お出かけ出来る日が減っちゃいましたから。
それに、こんないいお天気にお出かけなんて、気持ちいいですし」
早く行きましょうと笑いながら森を駆け回る。




2人でよく来る森の湖の畔に腰を下ろし、静かな2人だけの時を愛しむ。
クスクスと笑みを零し、時々じゃれ合うその様は微笑ましい。


お昼が近くなり、2人してマリンの作って来たお弁当を食べる。
「しっかし、人間一つは特技があるもんだ」
一人納得したようにうんうんと頷き、上手そうにお弁当を食べる。
「あ、どーいう意味ですか〜、それ」
「これしかお前特技ないだろ?それとも他に得意なもんあるか?…家事意外で」
さらっと言われ、口篭る。私だって頑張ってるんです。とか、アークさんはいっつも意地悪言うんですから。
とかぶちぶち言っている様が、子供のようで可愛らしくて…。アークはマリンの頬に口付ける。

マリンは一瞬何が起こったかわからずに、え?っとアークを見る。
しかしアークはいつものようにニヤニヤと笑って何も言わない。
勘違いかと思い直した途端アークが「ご馳走さん」と言い笑う。
マリンは慌てて「お粗末さまでした」と言うと、ほんのりと熱くなった頬を両手で覆った。

午後の爽やかな風が、通り過ぎていった。





後書き

アークvマリンです。結構ほのぼので書けた、かな〜?と言う感じです〜。
リュートとアーク、どっちにしようか迷ってたらアークが先に思い付いた為です。
リュートとだと、どーなったんだろ?
でも、やはり予定と違う…。キスのきっかけが、考えてたのと違う…!

あ、ちなみに、アークのご馳走さん発言は確信犯です。



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