ショートストーリーズ 〜掃除 ユニシス&アクア



静かな魔法院に高い声が響き渡る。
「お〜い、アクア〜」
ユニシスは探している少女の部屋へ入り、
「アクアー?アクアいるかー…って、なんだよこれはぁ!!」
静かな魔法院に姦しい怒声が響き渡った。
「あ…ユニシス……」
「ユニシス…じゃねぇよっ!!なんだよこの有様はぁ!!!」
豊かな金髪を振り乱しアクアの部屋を指し示す。
ユニシスの指の先にはごちゃごちゃと物が散乱してた。
かろうじてわかる山と山との間に微かな隙間は、区分の境目だろうか…。
「え?何って…掃除…してたんだけど…」
「掃除?これが掃除?
これはなぁ、掃除じゃなくて、只たんに、『散らかした』ってゆうんだよ!!」


一区切り一区切り怒りを押さえるようにきっていくユニシスの心境を知ってか知らずか、
アクアは何時ものようにゆっくりと反論する。
その口調は淡々としているが、どこか心外そうな響きを含んでいた。
「…違うわ。物を全部出して…いる物と、いらない物に分けて、いる物は仕舞って…。
…今は、その分別の、真っ最中…」
アクアの言葉を軽く受け流し、ユニシスは数枚の紙を手に取りひらひらと振る。
「…ふ〜ん。で?これはなんだ?」
ユニシスがひらひらさせている紙をチラッと見てアクアは淡々と答える。
「ユニシスが書いた、意思と理論の定義…。
そっちは…ユニシスが書いた魔法式に、効果に、それに基づく理論…」
「で??なんでこれが見るからにいらないごみっための中に入ってるんだ?」
こめかみをぴくぴくと痙攣させ、ユニシスにしては穏やかに問いかける。
そんなユニシスを真っ直ぐに見、アクアは当たり前のように口を開いた。
「だって、いらないんだもの……」
「お〜ま〜え〜なぁ!!!」
自分の傑作をいらないと一蹴され、ユニシスはあらん限りの声を張り上げた。
「ユニシス…煩い…」
というアクアの講義は聞き流し、自分の作ったレポートについて熱く語り始めた。
勿論、掃除とは!という説教も含めて。

結局、ユニシスは何故アクアを探していたのかキレイさっぱり忘れ、
気分よくアクアの部屋を後にしたのだった。


数刻後に大慌てでアクアを呼びに戻ったが。




後書き

スキルでショートストーリー第一弾パートV!
やっぱり私贔屓のCP・ユニアクです。
ユニシスがアクアを探していたのはヨハン先生の用事です。
(忘れちゃあかんだろーって感じですが)
ちなみに、アクアはユニの説教は聞き流してました。
聞いてる振り。アクア結構そういうの上手そうですよね。


05.6.15 UP



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