ショートストーリーシリーズ 〜掃除 リュート&マリン〜
そろそろ夕暮れが近づいてきた秋の午後。
騎士団に勉強に来たマリンは一人で広い訓練場を掃除するリュートを見掛けた。
「リュートさん、お一人でお掃除ですか?大変そうですね。
…よかったら私、お手伝いしますよ」
「悪いね、マリンさん。手伝わせちゃって」
「いいえ。お掃除は好きですから」
あらかた片付いた訓練場で二人微笑み合う。
「まったくアークったら、いつも逃げるんだから。ずるいよね?」
「今日はアークさんが当番だったんですか?」
「そうだよ。僕とアークの2人でね。
僕はアークの保護者じゃないのに、アークの後始末はいっつも僕なんだよ?」
そうリュートはおどけて見せた。
「あはは。しょうがないですね、アークさんったら。…(でも…)」
「でも、今は少しだけ、感謝したいかな?」
そう言って柔らかく微笑む。
その微笑みがあまりにも優しくて、マリンは頬が熱くなるのを感じた。
「…私も、です」
俯きながら、ぽつりと言う。
「あ!!リ、リュートさん、これどこに置いたらいいですか?」
照れ隠しなのだろう、突然声を大きくして早口で捲し立てる。
「へ?ぁあ、それはねぇ、あそこの戸棚の上だよ。
マリンさんにはちょっと届かないかな?
僕がやるよ」
優しく笑いかけ、マリンの手から大きめな箱を受け取る。
その微笑みを嬉しそうに見詰め、マリンも微笑む。
和やかな雰囲気が二人を包み込む。
「すみません。ぁじゃ、じゃぁ私これを運びますね」
慌てて他の箱に向かうマリンを
「ありがとう」
と微笑みながら見詰めた。
誰よりも愛しい君だから、同じ時間を共有できるのがこんなにも嬉しい。
誰よりも愛しい貴方だから、些細な遣り取りがこんなにも優しい。
アナタに出逢えた奇蹟が…
後書き
スキルでショートストーリー第一弾。
私贔屓のCP・リュマリです。
ネタが思い浮かばなくて、取り説のスキルを見て使うことにしました。
でも、私の場合ショートもロングも長さ変わらない気が…。
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