ショートストーリーズ 〜掃除 アーク&葵〜



騎士院の廊下をうろうろしていたアークは葵を見つけ嬉しそうに微笑む。
「よっす、葵ー!今暇かー?」
「何じゃおぬしは。何時も突然現れおって」
葵は長い髪を揺らし振り返ると眉間に皺を寄せる。
「あ?なんだよ、いーじゃねーかよ別に。んで、暇か?」
「別に暇というわけでは…。 ! そうじゃ!おぬしも来い」
ポンっと手を打ちぐいぐい引っ張る葵とは対照的に、
挑発的な笑みはそのままで少し焦ったようにアークは問う。
「あ?どこにだ?」
「いやな、倉庫の掃除をせねばならないのだが、
どこに何があるのか、まだ把握しきれてなくての。
教えてくれると助かる」

正直なところ、冗談じゃねえとアークは思った。
元々掃除をサボってここにいるのに、何故再び掃除に関わる様な馬鹿がいるというのだろう。

しかし、ほんの少しだけ眉を下げ上目使いに見られると、断りきれない。
うっと詰まり、口篭る。
葵を誘って遊ぼうと思っていたアークは持ち前の頭脳で素早く計算をした。

…曰く、一番得をする手と損をする手。

アークの優秀過ぎる頭脳は、瞬時に手伝いを理由に次の葵の休みを貰う事を思いついた。

これでも騎士団の紅一点。
狙う輩は吐いて捨てるほどいる。
いつ先を越されるか知れたものではない。
遵って、今この時点でアークが約束を取り付ければ勝ちという事だ。
ついでに掃除を手伝う事でさらに一歩リードだ。

そうと決まったら行動が早いアークである。
嫌々引き受けるような素振りを見せ葵が断りづらくする。
「……ちっ、しょーがねーなぁ。じゃ、次はお前が付き合えよ」
「すまぬな」
申し訳なさそうに静かに微笑む葵にアークは念を押すように付け足す。
「おぉ。…言っておくが今日だけだからな!?」
「わかっておる」
葵は苦笑したが、どことなく嬉しそうに見えた。
「おっけ。じゃ次のお前の非番の日、調べとけよ?」
「わかっておるとゆうとろうに」
「ハハハハハハハ」

アークは葵と掃除をしながら、
次はどういう理由で葵を独占するかを考え始めるのだった。
勿論、今という時間を満喫するのも忘れない。



後書き

スキルでショートストーリー第一弾パートU!
これまた私贔屓のCP・アークv葵です。
葵さん美人だから、アークは内心ひやひやではないかとvv
葵さん無防備だからきっとやきもきしている事でしょう!!


05.1.21 UP



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